NITRADOのARK:SAサーバーの独占性と現状のまとめ

ARKの周辺環境の情報がかなりネガキャン側に引っ張られている気がするので知りうる限りの情報を共有したいと思います。
まず独占という言葉に過剰反応していると思うので、ワイルドカードとNITRADOは提携関係と表現している事を念頭に順次解説しようかと思います。

NITARADってどういうサービス?

まずこれを把握していないまま、バグが付き物なARKへの不満が直接NITRADOにぶつけられているケースがあります。
NITRADO、およびゲーム専用レンタルサーバーの商業モデルについて軽く説明したいと思います。

単純な話ですが、ゲームを動かすためのゲーム専用サーバー、サーバーマシン、およびスペース、そしてゲームのサーバーアプリケーションのインストールや設定補助ツールやサポートの提供が彼等の生業です。

これを抱き合わせ販売。と称する方もいますが、彼らはこのサーバーアプリケーションに対して基本的になんの権限も持っていません。

これは例えばWEBサイト構築とかでもよくある形態なのですが、WEBサーバーにHP作成支援ツールやWordpress(ざっくり言うとHP作成ソフト)初期インストールなどをサービスにしている業態もあります。

ここでこの業態がグレーゾーンを走っているのが、サービスの責任範囲がどこまで及ぶか?です。

例1. 皆さんはARKのサーバーアプリケーションを稼働させるつもりでこのサーバーを契約したとします。
ですがARKのサーバーがクラッシュして動きません。
なので別のゲームのサーバーアプリケーションを動かしてみたとします。
動いたとしたらサーバーハードウェアには問題は無い。
っとなってしまうわけです。

例2. サーバー設定のUIがどんな数値を入力してもARKのサーバーアプリケーションで反映されるはずの数値が反映されません。
これは紛れもなくNITRADOのサービスの責任範囲です。

例3. MODのインストールによってサーバーがクラッシュし続けた。
これは使う側のユーザーの責任範囲です。

もうお分かりかもしれませんが、この業態自体がサービスの責任範囲の判断が凄く難しいという事です。

そして適格に問題がありそうな部分をピックアップしてサポートに対応してもらう事自体、ハードルが高い部分もあります。
そしてその問題部分はほとんどがサーバーアプリケーション由来である事が多いです。

ですがユーザーはなんか知らんがとりあえずサーバーが動かない。としか言えなくなってしまうわけです。

これ等はARKのパッチノートも追いつつ自己ホストとNITRADOを併用して使うような経験をしていないと把握しようがありません。

NITRADOが独占権を獲得した経緯

NITRADO、および親会社のMarbisに対してスタジオ ワイルドカードはArk: Survival Evolved のサーバー料金として1,046,932ドル(約1.6億円)の未払い債務がありました。

これはASEの公式サーバーの運用を委託提携していた間に発生したものでしょう。

そこで両者間で債務の免除と追加開発資金として4,046,932ドル(約6.3億円)の融資をすると共に、
今後発売されるARK関連作品に対して7年間のサーバー独占権をNITRADOが得る事になります。

さらに2023年10月31日までにARK:SAをリリースしなかった場合は、既存のARK:SEにまでその権利を拡張する。という条件が、ARK:SAの発売の追い風になりました。

あくまで両者合意のもとで、お互いの利益のために提携した。という事を抑えておきたいところです。

現に両CEOは提携やパートナーシップと表現しており、NITRADOは今後MODサービス扱うオーバーウルフとの繋ぎ役を含め、ARKに関わるようになっていきます。

不透明な独占の範囲

ここでユーザー視点から見ると、NITRADOのサービス以外で非公式サーバーの構築ができない。
っという事で海外コミュニティで過熱しました。

ですが、この時点でNITRADOの独占の範囲は不明で、未だに不透明です。

ARK公式サーバーの業務委託を独占したのか、ARKサーバーアプリケーションが使えるサーバーの独占なのか、商業目的で使う場合の独占なのか。

ユーザーが手にできる手がかりは2024/05/28現在

  • SteamCMDによるアプリケーション運用に規約がある
  • 一般向けにサーバーアプリケーションは公開されている
  • NITRADOはサーバーアプリケーションの運用を制限しないと声明を出している

これだけと一部ユーザーが問い合わせで得れた少ない情報です。

つまり誰もがほとんどこの独占の範囲を正しく把握できていない推察で行動している現状です。

まずはSteamCMD内での規約

これが個人がARKサーバーを収益化する事を制限するものだと、また海外コミュニティで加熱しました。

お客様、つまり個人のエンドユーザーに向けられた規約ですが、個人使用が目的であり、個人使用であっても、アプリケーション運用コストを超えて収益を生成してはならない。

つまりレンタルサーバー事業でこのアプリケーションを使うなどもってのほか、という事になります。

先にNITRADOが出してる文章を見てください。

つまり個人が収益化する事はNITRADOは妨げないが、利用規約に基づいてとなると、上記の規約内のサーバー運用コストを超えない収益に限る。という話になります。

SGUSAとMarbsの契約、提携に関する資料を手に入れたので、それにあてはめても、
商業利用の制限と、個人利用が商業化しないこと、の主旨が書かれています。

さらに今回Xserver Gamesのサポートに問い合わせた結果の見解

これらから上記の認識で問題無いかと思います。

サーバーアプリケーションによって生成される収益の範囲とは?

先ほどの資料でサーバーの譲渡や参加ライセンス、つまりアクセス権限の販売などは違反する可能性が高い事がわかりました。

さてここでよく議題に上がるのがサーバー上での配信活動です。

ですが、これはエンドユーザー規約に基づいて、ARKは配信の収益化を認めているので問題無く。
これはサーバーアプリケーションの運用に限らず、公式サーバー、ローカルプレイも含むので、サーバーアプリケーションから生成された収益とは考えにくいでしょう。

ただストリーマーの事務所がいわゆるスト鯖のようなものを開催すればサーバーアプリケーションを商業目的で実行する。という文脈に当てはまらなくもない、というのも事実です。

ただし、ここでの収益化はあくまで配信による収益なので、ここで度々制限されるサーバーアプリケーションで生成する収益、参加費用や、レンタルには当てはまりにくいのではと思います。

特に、提携内容から、SGUSAがNITRADの商業的独占を保護する主旨なので、配信での収益化がNITRADの商業的独占を侵害するとは考えにくいです。

ポイントはNITRADのビジネスモデルでの商業利用を侵害するかどうかが大きいかと思われます。

NITRADOに不評が集中した原因

一つは独占という言葉の強さでしょう。上記内容を見てもらえばわかると思いますが、彼らにとっては提携と商業的な協力関係を結んだ。

結果、ユーザーが割を食った、と思われがちですが、見返りも大きいです。

資金提供、Over Wolfを含めたMOD提供環境の構築、技術提携。

これらがなければ今のカスタムコスメティックやクロスプレイサーバーは実現していないと思います。

割を食った部分で最初に出てきたのが、

1.Gポータルと比較して料金が高い(実は高くない)
これに関してはこちらを参照

2.ユーザーの選択肢が減った。
これに関しても、MODに関わるOverWolfとの連携、APIの利用、クロスプレイをするためのコンソール関係の厳しい部分、これらをクリアするためにもどのみち商業利用する業者は絞られていたほうがいいのではとも思います。
自宅、VPSでアプリケーションを実行する事は制限されていないので、それほど選択肢が減った実感はありません。

3.収益化に制限が入った。
正直これが一番大きいかと思われます。
日本では馴染がなかったのですが、海外ではサーバーを収益化している例が多いのです。
さらにサブスクのようなものを用意してアイテム付与などで収益を上げているところも少なくなく、
一気にこれらが違反、グレーゾーンとなった事で反発が起こったのが大きいと思われます。
そもそもサブスクでアイテム付与となるとRMTにも触れる気がしますが…。

4.ワイルドカードの声明や対応が悪い
ARKのパッチでもは今も10回のパッチのうち5~6回はクラッシュに関する事ですが、
発売当初はメモリリーク(未使用になったメモリが解放されない)などでかなりの負荷をかけていた。
尚且つ、一つのサーバーでの高負荷が別サーバーに影響を及ぼしていた。
これらはNITRADOも把握して、両者で改善にあたっていたわけですが、サーバーの改善に取り組んでいるとたまに声明を出すのみ。
これがサーバー=サーバーハードウェアと考える人達がならNITRADOのサーバーが悪い、と考えてヘイトが高まりました。
もちろんこれらはアプリケーションの問題で自己ホスト型のサーバーでも同じ問題を抱えていました。

個人的にはもう少しヘイトが向かないようにワイルドカードがちゃんと説明するべきだったのでは?と思います。

5.実装当初設定項目が少なかった
これはまぁ、ASE×Gポータルと比較して騒ぐ人も居ましたが、どこでも実装当時は同じです。
ASEに関してはNITRADのほうが早くに設定項目は充実してましたし。今はASAも設定項目は増えています。

6.サポート対応が遅い
一応24時間以内のサポートをうたっていますが、これが悪いという話が多かったです。
ただ、最初に触れた通り、ARKに関する事には対応できないので、どういうサポートを求めたかによります。
しかも利用の仕方はユーザーで千差万別、設定、MOD、これらによるクラッシュの原因究明をするのがサポートなのか、構築のサポートをするのか、再起動ループして触りようがないから停止する。バックアップを適応する、促すなどしかできる範囲は実際はないのでは?と思います。
あとは、日本人から見て、って要因が大きいです。
スタジオワイルドカード含め、サポートのクオリティは……ですね。

NITRADの脆弱な部分、ARKを含めた問題点

これは特に日本のユーザーがかなり割を食ってる部分で、解決策を出せないか問い合わせてはいますが、難しい部分もあります。

日本サーバーでNITRADOのUIが反応が悪かったり、再起動がなかなか完了しない。という経験があるかと思います。

それが問題点です。いくらサーバーそのものを日本に置いても、それにアクセスするプレイヤーは確かに快適です。
ですが、そのサーバーのコントロールを管理者側はNITRADOのUI、つまりUSやEUを経由するので日本サーバーから物理的に遠かったりします。
これがARKの接続性の悪さから、再起動コマンドを飛ばす、シャットダウンがなかなか完了しない、接続が切れるたびにシャットダウンをやりなおす。さらに実装当初、混雑したであろう、クラッシュが頻発してたであろう日本サーバーへのアクセス集中。
これ等が多大に影響していたと推測しています。

これ等の解決策として、サーバーUIをアプリケーションとして、リリースして自宅PCからアクセスできるようにしてほしいと提案はしましたが、予定は無いと返答がありました。
まぁ当たり前に彼らのコアサービスなのでそれをアプリケーションとして出してソースファイルが漏洩するリスクは取りたくないですしね。

なにかいい形でこれは解決してほしいです。

ARK×非公式の今後

あとがきです。ASAを皆さん楽しんでおられる通り、コンテンツ量もMODを含めると多くなったと思います。これらは非公式、MODのコミュニティがあればこそなのは間違いないです。
さらに大きな事はコンソールでもMODサーバーを利用でき、クロスプレイができる事です。
これは凄く大きな出来事だと思っています。なので基本的にワイルドカード、オーバーウルフ、NITRADOの協力関係で実現したこの環境に対して一定の権利を持つことは肯定的です。問題点が無いわけではないですが、まずこれらに尽力した事を称賛したいと思います。

誰でも簡単にサーバー運用というには、バニラサーバーが基本の他ゲームと違い、こだわればどんどん難しい部分も出てきますが、私も非公式に関する事は発信、サポートに尽力するので、このまま盛り上がってくれればなと思います。